2020.07.22

TITLE: 撮影レポート・紺野美沙子編

※ビジュアル撮影は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言より前に実施しております。

雪乃童が所属する花吹雪部屋のおかみさん・節子役、そして雪乃童の母親・菊代役を演じるのは、紺野美沙子さんです。実は長年の相撲ファンで“スー女”であることを公言している紺野さん、舞台『両国花錦闘士』への出演、並びにこのビジュアル撮影に挑むにあたっても、最初からすっかりノリノリ。相撲部屋のおかみさん役だというのにもかかわらず、紺野さんに用意されたのはそのパブリックイメージとは真逆と言えそうなほどに少々ハード、かつ大胆なスリットも入ったセクシーなスタイル。ボリュームたっぷりのファーがいかにもゴージャスで、赤と黒を基調にしたクールでスリムな衣裳です。そんないでたちの紺野さんが、女性ボーカルのロックが響くスタジオに姿を現すと「おぉ~、お美しい!」「品がある!!」「なんだか翻訳劇に出演するみたい」などなど、フロアに居合わせたスタッフたちから歓声が上がっています。

紺野1

まずはデザイナーのナルティスの新上ヒロシさんが、今回の撮影のコンセプトを説明。さらに参考までにと、紺野さんよりも先に撮影を済ませた男優陣(つまりほぼ全員がまわし姿)の写真をひとりずつモニターで披露していくと「あら、かわいい、いい感じ」「すごくカッコイイ!」「いいねえ、セクシー!」「身体が柔らかそう!」「すっごくいい写真ね!」とそれぞれのカットに目を輝かせ、ニコニコが止まらない様子。

紺野2

カメラマンの加藤アラタさんが「まずは慈愛の表情からいきましょう!」とリクエストを出し、撮影がスタート。「優しく見守る感じ」「清楚でにこやかに」との注文に応えていく紺野さんですが、加藤さんがレンズを交換するちょっとしたスタンバイの時間にはBGMのリズムに合わせて身体を揺らして軽く踊ったりもしていて、いかにも楽しそうです。


紺野3

紺野4

紺野さんに用意された小道具は、かつてのバブル期を彷彿とさせるような扇子。新上さんから「足をきれいに見せたい」と言われ、すっと重心を傾けてスリットからチラリと足を披露。「素敵!」と声がかかると、扇子をひらひらさせたり、顔の前に掲げてお茶目なポーズをとったり。「大きく笑ってください」と言われれば「おーほほほ!」と高笑い。続いて困り顔、哀しい顔、ぷーっとほっぺたをふくらませたり、なぜか「がおーっ」と叫んだり。ご自身も「なんだか、よくわからなくなってきちゃった」と苦笑い。

紺野5

さらには加藤さんから「こういうの、やってもらっていいですか?」と力士の突っ張りのようなポーズをリクエストされると「はい! どすこい、ね!!」と微笑み、「ハッ! どすこい!!」とレンズに向かって開いた手を前に突き出し、「ハッ! ハッ!」とシャッター音に合わせて躊躇なくコミカルに右、左、と手を前に繰り出してくれています。

紺野6

紺野7


ほかにも、まわしを綱引きの綱のように引っ張って「オーエス、オーエス」と掛け声をかけるなど、その意外性のある反応にはモニター周りのスタッフ陣も「紺野さんの自由演技、サイコーです!」と大好評。そんな中「まるで、相撲界のマクベス夫人だ!」との声には、思わず「プッ」と吹き出してしまっている紺野さんなのでした。

紺野8

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この撮影直前に、紺野さんを直撃してミニ・インタビューをさせていただきましたので、その模様をご紹介します。



――『両国花錦闘士』への出演のお話を聞いた時、どう思われましたか。
「“スー女”で良かった……!」って、思いました。

――昔から、スー女だったんですか?
半世紀ほど昔の、若い頃からです。本当に、お相撲をずっと好きでいて良かった!

――原作の岡野玲子さんのマンガを読んでみてのご感想は。
「なんじゃこりゃー!」みたいな感じでした。「こんな世界があったんだ、お相撲をこういう見方をしている人たちがいたんだ!」と思って衝撃と新鮮味を感じましたね。すっごく面白かったです。

――そのマンガを、今回は演劇にするわけですが。
「これを演劇に? 一体どうやるの? ホントにできるの?」って思いましたけど、台本を読ませていただいたら、そのマンガをより濃厚にした世界になっていて。「わあ、面白そう!」って思いました(笑)。

――しかも、歌も踊りもたっぷり入っている様子です。
いつ、「歌って踊ってください」と言われてもいいように、準備しています。私、まわし姿のお相撲さんとラインダンスをやるのが夢なんですよ(笑)。

――そんな発言をしたら、本当にやらされちゃうかもしれませんよ(笑)。
大丈夫、ウエルカムです!(笑) もう、そこで引退したっていいくらいの心境ですから。

――そこまで?
だって、こんな舞台、きっと世界初ですよ? 誰も見たことのない世界ですし、そんな貴重な舞台に立てるなんて、もう夢のようです(笑)。

――花吹雪部屋のおかみさんの役をやることについては、いかがですか。
女優で良かった……って思いました。だって私、子どもの頃から、相撲部屋のおかみさんと、お相撲さんのお嫁さんに憧れてきましたので。そうしたら今回の舞台で、おかみさんと、お相撲さんのお母さんを演じられるんですよ? もう盆と正月がいっぺんに来たようです。本当に役者を続けてきて良かった。今回は良かったこと尽くしで、なんだか熱が出そうです(笑)。

――ある意味、いろいろ夢が叶ってしまうわけなんですね。
そうなんです。だから、とにかく健康第一。あとは、初日の前に燃え尽きないように気をつけないと、と思っています。

――うれしくて仕方がないというお気持ちが伝わってきます(笑)。
もう、おさえられないの(笑)。この間、衣裳合わせをしにきた時に、たまたま市川しんぺーさんがスチール撮りしているところを目撃して。もうそれだけで、ぶつかっていきそうでした、私(笑)。

――たとえば好きなお相撲さんのタイプは。
あんこ型です。

――では、まさに雪乃童がタイプなんですか。
はい。現実世界で言えば、今年の初場所で優勝した、徳勝龍関がかなりタイプです。徳勝龍関は、雪乃童のイメージ、ありますよね。色白で、ぽっちゃりしていて、あんこ型で。でもね、正直に言うと今、一番好きなのは朝乃山関です。

――主人公の昇龍を伊藤健太郎さんが演じられますが、どんな印象をお持ちですか。
これは作品と直接関係のない話ですけど、先日お料理教室で隣に座った方が伊藤健太郎さんのママだったんですよ。「ええっ?」って驚いて、ものすごくテンションが上がりました。

――ご縁ですね。
そうでしょう? 健太郎さんは、真面目で爽やかな好青年!という印象です。早く会いたいです。雪乃童役の大鶴(佐助)さんは、メイクさん情報だとまさに雪乃童みたいに色白でお肌がすべすべだそうで。もう、早くタッチしたいです(笑)。

――りょうさんとも、初共演ですね。
桜子役にピッタリだと思っていて、ご一緒できるのが楽しみです。まったく私とはキャラがかぶらないので安心ですし(笑)。仲良くできると思います。そして(大原)櫻子ちゃんは、パパとは共演したことがあるんですけど、ご本人とは初めてで。以前、櫻子さんの舞台を観た時に「誰、この歌のうまい人」と思ったら、実は櫻子ちゃんで。そのあと、あっという間に大スターですからね。毎日、ナマであの歌声が聴けるなんて幸せです。

――稽古前に、特に準備したいと思っていることはありますか。
私が相撲を取るわけではないんですけれど、今回の舞台は不本意ながらおそらく最年長キャストになりそうなので、若手の方々に負けないように身体の柔軟性だけはつけておこうかなと思って今、毎日ストレッチをやっています。

――内容的には、かなり笑いを意識した作品になると思いますが。
とにかく、真面目に一生懸命演じれば面白くなるのかなと思いますので、ここは新人のつもりで。いえ、新弟子のつもりで、やります! きっと今まで誰も観たことのない、お相撲エンターテインメントになると思います。みなさん、ぜひお越しください!


TEXT:田中里津子 撮影:田中亜紀