2020.07.08

TITLE: 撮影レポート・大鶴佐助編

※ビジュアル撮影は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言より前に実施しております。

筋肉質の昇龍に対し、白肌でぽっちゃり型の力士・雪乃童(ゆきのわらべ)。ライバルのようで、そうでもないようで、でもお互いに相手のことをかなり意識している存在であることは確かです。原作同様、この舞台でもやはり重要な役どころであるその雪乃童を演じるのは、大鶴佐助さん。髷を結い、まわしをつけて撮影スタジオのフロアに登場した大鶴さんの姿には、スタッフ陣から早速「意外に似合う!」「可愛い!!」「めちゃめちゃ、白い!!!」と声がかかっています。

大鶴1

カメラマンの加藤アラタさん、デザイナーのナルティスの新上ヒロシさんからヴィジュアルコンセプトの説明を受けた大鶴さんが立ち位置にスタンバイすると、撮影スタートです。「視線は斜め左上で」「凛として堂々と構えて」「今度は、よくわからないままニヤつく感じ」と、加藤さんから具体的な注文が次々と繰り出され、リズミカルなシャッター音に合わせながら大鶴さんもキリリ!と引き締まった顔からふわっと柔らかな笑顔まで、豊かに表情を変えて対応していきます。

大鶴2

大鶴3

ライティングが変わると、右サイドからは赤いフィルムの付いたライト、左サイドからは青いフィルムの付いたライトで照らされた大鶴さん。輪郭に色が付くことでポップなニュアンスも加わり、キュートな魅力もどんどん開花していきます。「ほっぺたをふくらませて、ちょっとむくれている表情で」というリクエストに応えて、素直に頬をふくらませ「もーっ!」と声を上げる姿は特に「最高にカワイイ!」と大好評。撮影の合間に大鶴さん本人はタブレットでそのカットを確認し、少々苦笑い。

大鶴4

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さらに、動きのあるショットを撮る段階では相撲指導の両國宏さんも加わり、両手を広げた力士の構えのお手本を見せます。早速、大鶴さんも右腕は真っ直ぐ、左腕は曲げる構えに挑戦。また、下から突き上げるような突っ張りや、雪乃童の得意技“雪おろし投げ”を意識した投げのポーズ、そしてシコの踏み方などなど、実際に組んでみたりもしながら披露していきます。

大鶴6

シコを踏む動作の一環で足を上げる際、大鶴さんがあまりにも楽々とスッと高い位置まで足を上げるので「すごく安定してるね」「体幹がいいから全然ぐらぐらしないし」「上がった足の角度がこれまた素晴らしい!」とスタッフたちは大絶賛。ご本人に聞いてみたところ、実は空手経験者なのだそう。この体幹の良さは、おそらく舞台での所作でも目撃できるはず、ぜひともご注目を。

大鶴7

そんな中で、実は大鶴さんは股割りもできるということがここで発覚! そこで、ペタンとお尻をつけて床に座り、足はほぼ真横に広げて両肘を前につくなどのポーズにも挑戦。塩の入った籠や巨大おにぎりなどの小道具を使った撮影も行い、ちょっといたずらっぽい顔や満面の笑み、色気のある表情など、二枚目路線から面白セクシー路線までさまざまな表情を披露してくれた大鶴さん。最後に手形を押し、サインを入れれば終了です。「ものすごく気が引き締まった撮影になりました、それと同時に今、とても骨盤が痛いです」とこの日の撮影の感想を聞かせてくれた大鶴さんですが、撮影直前に行ったミニインタビューでは、こんなことも語っていました。


大鶴8


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――『両国花錦闘士』への出演のお話を聞いて、どう思われましたか。
上演する劇場や演出家、キャストの方々のお名前を聞いた時、すぐにこれは面白そうだなと思ったんですけど。そのあとで相撲の話だということを知った時は、自分の予想をはるかに超えていたので思わず笑いました。そして、ワクワクしました。

――演じる役柄については、いかがですか。
雪乃童という役で、彼はとても個性的な力士なんですが、意外に自分とちょっとリンクしやすい気もするので良かったです。

――たとえば、どういうところがリンクしそうですか。
おっとりしているというか、とてもマイペースなところが自分の中にも少なからずあるので、そこはコミットしやすいかも、と思いました。

――とはいえ、力士役だと聞いて驚きませんでしたか?
さすがに驚きましたね、やっぱり(笑)。今後、テレビで観戦したり、所作も含めていろいろと勉強していこうと思っています。

――お相撲に、興味はありましたか。
ないわけではないですが、テレビでやっていれば時々見るという程度です。親父が相撲好きだったので、昔はよく一緒に観たりしていました。

――雪乃童は、結構強そうですよね。
かなり、ムラがありますけどね。応援されていれば、ノってくるんだけど。でも、そういうところも面白い役ですよね。

――今回は、まず原作のマンガを読んでから台本を読まれたわけですよね。原作と台本との違いはどういう点が気になりましたか。
原作を読んだ時には、綺麗だし、心情の変化が上がったり下がったりと激しかったりもして、これを一体どうやって戯曲にするのかなあって思っていたんです。だけど青木豪さんの書かれた第1稿の台本を読んだら、真剣に豪さんがハミ出してきたな!って思って、読んでいて笑っちゃうところが本当にいっぱいありました。

――そのハミ出してきた一部が、歌と踊りが満載だというところだと思いますが。歌ったり踊ったりすることに関しては、いかがですか。
歌は、テントでの芝居でしか歌ったことがなくて。とりあえずはテント仕込みの歌い方でぶつかっていき、そこから先は当たって砕けろの精神だなと思っています。踊りに関しては……まずは暗黒舞踏風で勝負してみようかな……いや、それはたぶん間違いですね(笑)。

――暗黒舞踏をする雪ちゃんも、それはそれで面白いかもしれないですけど(笑)。
ハハハ。いやいや、そんなことしたら全然意味が変わってきちゃうだろうから、さすがに違うと思います。

――青木さんとの顔合わせは。
初めてです。でも作品は何度も観ていますし、あと親しい人たちが青木さんとよく一緒に作品を作っていたりするので、面識はちょこちょこあって。今回、やっとご一緒できるのでとてもうれしいです。青木さんの作る舞台は、心底笑っちゃうものもありますし、お祭りみたいなところもあるんですが、その中でもきっちりと心情の変化が描かれているのが最高に魅力的です。今回、共に身を投げる思いで心中したいと思っています。たぶん、豪さんならまた僕やみなさんの予想を軽く超えてくるんだろうなと思って、期待しています。

――お相撲を演劇で表現するという試みも、珍しいですよね。
他で観たことのないチャレンジですよね! どうなるのか、僕も全然予想がつかないですけど(笑)。どういう稽古場になるのか、キャスト同士の人間関係もどういう風に積み上がっていくのか。いろいろなことが今からとても楽しみです。

――新鮮な体験ができそうですね。まわしをつけて演技をすることになるんだとは思いますが。やはり、身体を鍛えたりする予定ですか。
今は、まだまったく鍛えてなくて(笑)。でも、まわしをつけること自体が、力士にとっては気持ちをひとつ入れることだと思うんですよね。初めて今日の撮影でつけてみるわけですが、それで自分の中で何かが変わるのか、まったく変わらないのか。それもまた楽しみです。

――今回、カンパニーもいろいろな方が集まって、面白い顔合わせになっていますが。共演経験のある方や、特に気になる方は。
共演したことがあるのは、入江甚儀くん。映像でご一緒したんですが、からむシーンはほとんどなかったんですよね。他の方とはみなさんと初めまして、です。本当にいろいろなルーツの人たちが集まっていて、でもその中に(市川)しんぺーさんとか(福田)転球さんがいるのは心強いです。共演は初めてですが、飲みの場や劇場でお会いしたことが何度もあるので。

――雪乃童のライバルともいうべき昇龍役は、伊藤健太郎さんです。
伊藤くんにはまだお会いできていないんですが、仲良くなれたらいいなと思っています。役柄では真逆といえそうな役ですけど、いろいろな意味でぶつかり合っていけたら面白そうですよね。

――ライバルでもあるけど、いがみあっているわけではない。
そう、不思議な関係で。お互いにライバルと思いあっているかどうかも、ちょっとわからない。でも絶対、心の底では意識し合っている存在だとは思います。そのニュアンスをどう体現できるかは、稽古次第ですね。

――稽古はまだ先ですが、何か準備をしておこうと思っていることはありますか。
やっぱり一度はナマで相撲を観たいなというのと、あと実はプロデューサーから去年のクリスマスに雪駄をプレゼントしていただいたんですよ(笑)。だから早く、その雪駄を履いて、足の皮を厚くしておかなければと思っています。とにかく力士を演じるのは初めてですし、この作品が果たしてどんなお祭り騒ぎになるのか、それも含めて稽古場でどんな風に芝居が立ち上がっていくのかを目撃できるのがすごく楽しみ。この『両国花錦闘士』、ぜひとも盛大な祭りにしたいと思います。みなさん、どうぞ劇場まで遊びに来てください!


TEXT:田中里津子 撮影:田中亜紀